「クライアントを獲得するためのレーザートーク」を終えて

一昨日に公開したコーチングコラム「レーザートーク、エレベーターピッチ、エレベータートークって何?」は、同じく一昨日、コーチを対象に開催されたセミナー「クライアントを獲得するためのレーザートーク」の参加者に向けて書いたものです。

コーチの方々は事前に「自身のビジネスを1分で説明する」というテーマで原稿を準備しており、セミナーの中で順番にスピーチを披露されました。
私はこのセミナーにゲストとして参加させていただき、一人ひとりのスピーチに対して、思ったこと、感じたことを率直にお伝えしました。

セミナーから2日経った今、多くのスピーチの中でも鮮明に覚えているのは、「断捨離コーチングをクローゼットの整理整頓で例えたスピーチ」と「現在5人の経営者の秘書をしているという自己紹介が含まれたスピーチ」の2つです。

私はそれぞれのスピーチを聞いている時、「我が家のクローゼット」を頭の中に描き、「え?秘書って最大で何人まで掛け持ちできるの?」と疑問を持ちました。
これらは「キラーフレーズ」「パワーワード」のように、私に強いインパクトを残したので、時間が経ってもなお鮮明に覚えているのだと思います。

また、スピーチは「贅肉(無駄)を削ぎ落としていく」「滑舌良く遠くまで届くような声を出す」というような追求を繰り返すと、個性や温もりまで薄まってしまい、「優秀なコンピューターが話しているみたい」とか「冷たい人みたい」に思われてしまう危険があるということも感じました。

それは、自分が所属する組織のことや、自分以外の人のことを伝えるシーンでは問題ありませんが、主役が自分自身の場合は、「練習を重ねて自信を持つこと」「個性的であること」「表現が豊かであること」「楽しむこと」を意識して、軌道を修正していくのがよいと思います。
ジャンルは異なりますが、歌手の美空ひばりさんや松田聖子さんは、優れた表現者だと思います。

セミナーで披露されたスピーチは、全体を通して「コーチは勤勉で心優しい人が多いな」と感心した反面、「優しさゆえに、押し(プッシュ)が少し足りていないな」という印象を持ちました。

これは余談ですが、長年コーチング業界と関わりを持っている私は、やたらと押しの強い、お金儲けや地位や名声への欲望に満ち満ちた残念なコーチが実際に存在することを知っているので(どの業界にもそういう人はいますが…)、今回セミナーに参加された方々には、どうか心優しいコーチのまま、傷つくことを恐れず、自分の本当の気持ちに寄り添って、技術を磨き続けていただきたいなと願っています。