市場環境の変化とスマイルカーブ

先日、東京国際フォーラムでイベントがあり、東京大学教授の伊藤元重先生が、講演をされていました。
その中で伊藤先生は次のようなことを言っておられました。

「今、日本では大きな市場環境の変化が起きている。これまでと同じ考え方とやり方では経営が難しくなっている。ただし、発想を転換すればチャンスでもある。そして、そのヒントとなるのが『スマイルカーブ』である」

『スマイルカーブ』とは、笑った時の人間の口の形のように、両端が少し上がった形の曲線を言います。
その意味するところは、上流や下流は高い利益率を上げることができますが、中流の部分は厳しいということです。

競争が激しく、マーケットが小さくなると必ず『スマイルカーブ』になると言います。

いろいろな業界でこうした動きが見られます。
例えば上流では『東レ』のように炭素繊維などの素材を提供している企業は高い利益を上げています。

グローバル化が進み、商圏が広がるほど、オンリーワンとなる商品を供給できることは大きな強みとなります。

また、下流では『ユニクロ』が代表的です。
消費者や最終ユーザーの価値をしっかり取り込むようなビジネスが展開できているところは成長しています。

このように、上流や下流では高い利益率を上げられますが、中流は厳しい状況に置かれています。

日本の国内でアパレル製品を生産しようとしても、中国などの低賃金国に対抗することは非常に難しいからです。

確かに、グローバル化と技術革新によって、繊維・アパレルの中流部分で縫製などの生産を行う企業は
どこも厳しいですね。

同じイベントで、明星大学経済学部教授の関満博先生も「中小企業の未来を考える『経営力が求められる時代』」のテーマで講演されていました。
言い方は異なりますが、やはり同じことを言っておられました。

関先生は、物事をシンプルに捉えた方が良いとして、事業の構造は、大きく「素材・開発分野」「組立・加工分野」そして「消費・サービス分野」の3つに分けることが できると言います。

日本はずっと、加工・組立に力を入れてきました。
これからは、素材・開発か消費・サービスに 向かうべきだと言っておられます。

「ロイヤルブルーティージャパン」という会社があります。
ワインボトルに日本茶を入れて販売しています。

なんと価格は、750ml、5,250円以上、最高級品は15,750円です。

800年の歴史を誇る静岡茶の茶祖と言われる「聖一国師」(発祥地)のお茶を使用していると言います。

緑茶(不発酵)はカテキンが強く、紅茶(完全発酵)は カフェインが強いため、料理の味を損ないます。

ブルーティーは半発酵のため、カテキン・カフェインともに弱く、料理とのマリアージュが愉しめるのが最大の特徴とのことです。

関先生の話によると、先進国になるほど飲酒率が下がり、今世界で最も飲酒率が低いのがフランスで50%とのことです。

ワインの国フランスは飲酒率が高いのではと思っていましたので 意外でした。