過去最長記録の真夏日も落ち着き、めっきり秋めいてきましたね。
昨日、私がホームページを管理している地元のボランティアグループから電話がありました。
そのグループは、いろいろなものを手作りする、手芸が得意な高齢女性の集まりです。
「せっかく作っていただいた貸し出しおもちゃのページなんですが、社協から貸し出しを停止するようにと指示がありました。たくさんのおもちゃをひとつひとつ写真まで撮っていただいたのに、本当に申し訳ありません」と。
今年の7月に、全部で29点の手作りおもちゃを丸一日かけて写真撮影し、WEB上で一点一点細部まで確認することのできるページを作り、差し上げていました。
私はそのページを作る際、グループの方に「利用者がおもちゃを紛失したり破損させてしまった場合はどうなりますか?返却が遅れた場合はどうなりますか?」といった質問を行い、利用に関するガイドラインを記載しようとしたところ、「何十年もの間、そういったことは何も決めていなかった」という回答があったため、説明や申し込みの手続きは窓口で行うということになりました。
この曖昧だった貸し出しのルールや衛生面での問題が、社協から一時停止を指示されたことの理由でした。
グループの方はページそのものがなくなってしまうと思っていたようですが、私が社協に確認をとったところ、「現在は貸し出しを停止しています」という一文を目立つように書き加えるだけでよいとのことでした。
貸し出しができなくなったのは残念ですが、これまで窓口を訪れた人だけにしか伝わっていなかった手作りおもちゃの存在を、WEB上で写真付きのリストとして公開できたことは、そのグループが一生懸命に誰かのことを想って活動を続けてきた証となるので、多くの意味を持っています。
当初、貸し出しおもちゃの写真撮影は、一点一枚として、時間はかからないだろうと想定していました。
しかし、あるおもちゃを見て、何枚も撮る必要があると感じたのです。
それがこの「おにぎり・手巻き寿司」です。
撮影のためにおにぎりをぱかっと開いた時、中のマジックテープの色と形がそれぞれ違ったことに驚き、思わず「赤は…梅、ピンクは…鮭、黄色は…たくあん!なんちゅうこっちゃ、めちゃくちゃ細かい仕事してるやん!」と、心の中で叫んでしまいました。
私はこの工夫とアイデアが詰まっているおもちゃを、ひとりでも多くの人に知ってもらいたいという思いに駆られ、撮影やページの制作を苦に感じることは1ミリもありませんでした。
改めてこの写真を見て、「頑丈に作られているとはいえ、こんなにもかぶりつきたくなるようなフェルト生地のおもちゃは、確かに貸し出しには向いていない」と思った今日この頃です。
一つの作品、一枚の写真だけでも、技術力の高さや想いの深さを人に伝えることができます。
アイデアや工夫が人を動かします。
皆さんは、宝物を倉庫に眠らせたままにしていませんか?
表現することを怠ってはいませんか?
追伸
おもちゃの中には、著作権法の改定後に貸し出すことができなくなった布製の手作り絵本もありました。
こんなにも素晴らしいものを、誰にも見せず、倉庫の奥で眠らせているだなんて…あってはならないことです。