BUCK-TICKが創造した「これまでこの世にはなかった普遍的なもの」

昨日14時、「令和5年10月19日午後11時9分、脳幹出血のため息を引き取りました」と、ロックバンドBUCK-TICK(バクチク)のヴォーカリスト、櫻井敦司さんが他界されたことを所属事務所が発表しました。

私は33年前の中学一年生の頃から現在に至るまで、BUCK-TICKが大好きです。

突然の訃報で悲しみに暮れています。

私の人生を変えた特別なメロディーライン

  • アルバム「狂った太陽」の3曲目『MY FUNNY VALENTINE』のBメロのメロディーライン
  • アルバム「COSMOS」の5曲目『Tight Rope』のサビのメロディーライン

私は学生時代、この2つの曲の、特定のセクションのメロディーラインがあまりに美しく、一音一音を集中して丁寧に捉えていったであろう作り手の姿をイメージし、「どうやって作ったのだろうか」「どれくらい時間がかかったのだろうか」と尊敬の念が湧き、「いつか自分もこんな曲を作ってみたい」と憧れを抱きました(「こいつは何を言っているのだ」と思われるかもしれませんが、実際に声に出して歌ってみることで、私の言わんとしていることが伝わると信じています)。

「普遍的なもの」「個性的なもの」「実験的なもの」

BUCK-TICKが発表してきたアルバムのほとんど全てに、特別なメロディーラインが含まれた楽曲が2つか3つ入っています。

BUCK-TICKの作品は全体を通して、唯一無二の個性、奇想天外な発想、実験的な試みを随所で感じ取ることができ、表現する力や方法は驚きの連続で、聴き応えがあります。

そして、特別なメロディーラインに関しては「BUCK-TICKらしさ」という個性を超越しており、「これまでこの世にはなかった普遍的なもの」としか表現することができません。

私はこの「これまでこの世にはなかった普遍的なもの」をコンスタントに生み出すことができる人や組織のことを天才と呼ぶのだと思います。

音楽とはその名の通り、音を楽しむことです。
BUCK-TICKからは、音楽のみならず、芸術作品を面と点の両方で捉えることの楽しさを教わりました。

ほとんどテレビに出ることのないBUCK-TICKが、日本の音楽シーンにおいて40年間(結成1983年)、多くのファンに支えられて活動することができたのは、普遍的で、個性的で、実験的な音楽を、集中力を絶やさずに創造してきたからです。

これをお読みいただいているコーチの皆さんは、クライアントとのセッションの中で、我ながら天才的だと感じるような「鋭い角度」「変わった角度」からの質問ができた経験はありませんか?

アート作品とコーチングセッションの特性は異なりますが、相手の想像を上回り、刺激し、気づきや発見を与えることに注力し、表現を追求する点は、アーティストもコーチも、共通しているのではないでしょうか。

追伸

櫻井敦司さんは生と死をテーマに歌い続けていました。
私は現在「たとえば今死んだら何を後悔する?」と、自分に問いかけ、BUCK-TICKの音楽を聴きながら、その答えと向かい合っています。